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日本人ファッションデザイナーの松居エリ,東京コレクションにMathematicaを利用

「さまざまな条件や規則を使用しているときには,結果としてどのようなものができるかということは見当もつきません.でもこの結果が分からないながらに待つということが私にとって余計にスリルのあることなのです.」

2000年秋冬東京コレクションが4月に開催されたとき,その中でMathematicaから着想を得たユニークなデザインがファッション界の注目を集めました.日本のファッションデザイナーである松居エリ氏は,作品を通して美の形を探っていますが, これらの服飾のパターンを作成するのに,大変シンプルなものから信じられないほど複雑なものまでMathematicaを使いました.

松居エリ氏のコレクションにはクラインの壺,エッシャーのパターン,結び目理論のような数学的な形のデザインが含まれています.結び目理論について氏は「ファッション面ではさまざまな変化を持たせるものを作成する一方で,数学面では単一の解にアプローチする」ものだと言っています.デザインの作成にはコンピュータが使われていますが,デザインはむしろ多くの観客にほとんど日本の着物の伝統美のような生物学的なものを思い起させるものでした.

松井氏の作品に対するこの反応は,コンピュータと自然,科学と芸術が相対立するのではなく,互いに受け入れ合う関係にあるのだとする松居氏の考えを支持するものです.女性を美しく見せるための世界共通の形を求めていた松居氏は,まず黄金比を探究しました.松居氏が数学的な観点から「美とは何か」ということを考え始めたとき,氏の興味は幾何学的科学全体を含む部分にまで広がりました.松井氏が最初にMathematicaを使って見事なグラフィックスを作成する例を見たのは,雑誌「Newton」の中ででした.

松居氏は,海外に派遣されることになった夫と一緒に渡米し,イリノイ州のシカゴでファッションデザイナーとしての道を歩き始めました.松井氏は以前に高校と大学で美術工芸デザインを勉強し,しばらくの間グラフィックスデザイナーとして働いた経験がありました.シカゴに滞在中,氏はウィリアム・レイニー・ハーパー・カレッジに通い,そこで初めてファッションデザインに触れ,それが自分にぴったりの分野であることを発見しました. シカゴに6年間滞在し,数多くの賞を受けた後,松居氏は帰国して「エリ松居JAPAN」を設立,今では東京とパリにスタジオを持っています.

松居氏は10年以上東京コレクションショーで自分のファッションを発表してきており,それとともに松井氏の評判も高まってきました.ショーの後,日本のMathematicaの販売代理店の代表が今年のコレクションのデザイン過程でMathematicaがどのように使われたかということについてデモを見せました.松居氏はMathematicaを使う理由について次のように述べています.「コンピュータで生成したものと人間の情熱が作り出したものを比べることができます.(中略)さまざまな条件や規則を使用しているときには,結果としてどのようなものができるかということは見当もつきません.でもこの結果が分からないながらに待つということが私にとって余計にスリルのあることなのです.」いったんMathematicaでデザインが作成されると,松居氏は複写の技術を使って生地にそれを移します.

コレクションはショーの観客の間で大変な人気で,松居氏の「結び目理論」のデザインは,すでに海外の買い手に買われました.7月には,日本の有名な歌手,西田ひかるがNHKの番組で松居氏のMathematicaから着想を得たデザインの1つを着てライブで歌いました.メディアから大きな注目を集めたため,松居氏の公式のインタビューも組まれ,松居氏自身と松井氏が作品に数学を使っていることについての記事が先日日本のいくつかの雑誌に掲載されました.

Mathematicaの東京コレクションへの係りは,より大勢の観客に対して数学について話をする機会をさらにいくつかもたらしました.例えば,松居氏は,自分がかつて学生として勉強した武蔵野美術大学に招かれ,芸術と科学の関係と境界線についての講義を行いました.松居氏は,近頃多くの人が数学に興味を持たないということを認めており,「私自身も好きではありませんでした(笑).このような美しくきれいなものになり得るなんて思いもよりませんでした!」と指摘しています.

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