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人間の視覚研究にgridMathematica を使ってプロジェクトを加速

Phillips教授はまったく同じ処理にかかる時間を1ヶ月半から2ヶ月という長さから4時間から6時間という長さにまで削減することができるようになりました.

Flip Phillips教授はSkidmore Collegeにおいて自分の研究を高速化するための「洞察力のある」方法を発見しました.Phillips教授と彼の同僚は,人間の視覚,主に3Dの形をどのように認識するのか,つまり「我々が目に見えるものをどのように見ているのか」ということについて研究しています.

Phillips教授は研究の焦点を実証的研究と実際の実験室試験に置いています.これらの実証的研究が以前からある理論的なモデルに合わない場合は,その正当性を立証あるいは反証する責任はPhillips教授にかかっており,彼はこのために使う主要ツールのひとつとしてgridMathematica を使っています.

グリッド計算で計算時間を短縮

既存の理論的なモデルをテストするためには計算,それも多くの計算が必要です.Phillips教授は高速の2GHzでデュアルプロセッサのPowerMac G5を使っても,自分のマシンが現在の実証的データに対して有名な理論的モデルをテストする際にそれぞれ1ヶ月半から2ヶ月かかるであろうということに気付きました.そこで彼はSkidmoreがWolfram製品すべてに対して持っているUnlimitedサイトプログラムを利用して,Skidmoreのコンピュータサイエンス学部におけるgridMathematica の計算クラスタのリソースを追求することにしたのです.

Skidmoreのコンピュータサイエンスラボには,デュアルプロセッサのApple Xserve G4の棚があります.この設定によってPhillips教授の計算時間は各テストについて2週間から2週間半と大きく短縮されましたが,それでもPhillips教授はより速く結果を得る方法を模索していました.キャンパス内におけるコンピュータの使用量が低い夏にPhillips教授はキャンパスネットワーク上にあり使用されていないMacintoshのマシンをすべて「あさる」ことによって自分のグリッドを拡張できるということに気付きました.

Phillips教授は主グリッドで実行される,空いていて使えるMacのマシンを探すための一連のプログラムを書きました.空いているマシンが見付かると,プログラムがgridMathematica と必要なデータをすべてロードして計算を始めます.現行の処理が終了する前にそのマシンが必要となった場合には,そのマシンが空くまで Mathematica がバックグラウンドで計算をゆっくりの速度で行います.

gridMathematica を使うことによって,Phillips教授はまったく同じ処理にかかる時間を1ヶ月半から2ヶ月という長さから4時間から6時間という長さにまで削減することができるようになりました.中間結果をチェックして不要な部分を「刈り込む」等の調整を加えることによって,処理はさらに速くすることも可能です.

Phillips教授がこのような計算時間の短縮方法を思いついたきっかけは,1980年代にPixarで働いたときの経験にあります.友人が最優秀短編アニメーション部門の学生アカデミー賞を受賞したとき,その賞金の一部で彼らはスケッチを色付けのために海外に送付しました.何千ものスケッチの原版が輸送中に紛失してしまったとき,彼らは映画の画像をもう一度作成しなおすためにコンピュータデータに転送する羽目に陥りました.その処理を早めるために(それでも約1年間かかったのですが),彼らはPixarのレーザープリンタのすべてにおいて同じような「ごみあさり」処理を行ったプログラムを書きました.

グリッド計算で結果を出す

ようやく必要な計算を以前に比べてずっと少ない時間で行う方法を発見したPhillips教授と彼の同僚たちは,出版のために論文を書こうとしています.興味深いことに,反証しようとしていたモデルが完全には間違っていないということを彼らは発見しました.理論的なモデルは制限された状況における実践的結果を予測します.しかし,広範な他の条件下ではモデルは正しく実践的結果を予測することができませんでした.

gridMathematica を使うことによってPhillips教授は視覚研究を次のレベルにまで持っていくことに成功しました.計算的な制約のために理論を全体として拒否したり受け入れたりする代りに,Phillips教授は理論のどの部分がどのような条件下で使えるのかということを知ることができるようになったのです.

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