WolframScriptを使うと,Wolframカーネルがシステム上で利用できるかどうかにかかわらず,どのターミナルからでもWolfram言語のコードを実行することができます.
WolframScriptによって,ユーザはWolfram言語のコードをどこでどのように実行するかを自分で決められるようになります.カーネルとクラウドの設定を行うことが可能なWolframScriptには,コマンドライン入力による純関数の実行,クラウドAPIの呼出し,Wolfram言語でサポートされる任意の形式へのデータのエキスポート等,さまざまなタスクのための簡易関数のコレクションも含まれています.wolframscript -cloud,あるいはUnixシェルスクリプトの#!/usr/bin/env wolframscript -cloudを使うと,Wolfram Cloudでコードを実行することができます.
例題
$ wolframscript -code 2+2
4
$ wolframscript -cloud -code 2+2
4
スクリプトファイル
#!/usr/bin/env wolframscript
Print[2+2]
$ ./file.wls
4
#!/usr/bin/env wolframscript -cloud
Print[2+2]
$ ./file.wls
4
#!/usr/bin/env wolframscript
Print[ToExpression[$ScriptCommandLine[[2]]]^2]
$ ./file.wls 5
25
#!/usr/bin/env wolframscript -function -signature City City
Print[GeoDistance[#1, #2]]&
$ ./file.wls "Champaign, IL" "Oxford, England"
Quantity[4010.4812837526256, Miles]
機能
WolframScriptは,お客様のスクリプティングのニーズに最も適した,さまざまなコマンドラインインタラクションを提供します.
コマンドラインでコードを実行
-code引数を使うと,コマンドライン上でコードを直接WolframScriptに渡すことができるため,出力をファイルに直ちに表示,あるいはリダイレクトすることができます.
ファイルからコードを実行
-file引数を使うと,Wolfram言語パッケージから直接コードを実行することができます.
実行可能スクリプトを作成
WolframScriptはスクリプトインタープリタとして使うことができるため,システム上でUnixの#!シンタックスがサポートされている場合はこれを使ってスクリプトを書くことができます.
コマンドラインから関数を実行
コマンドライン環境のデータや引数を使って純関数を定義し,実行することができます.これにより,アドホックの逐次操作が簡単にできます.
入力ストリームと簡単にインタラクト
WolframScriptに供給されるデータは,一度にすべて,あるいは1行ずつ繰り返して処理することが簡単にできるように,$ScriptInputStringシンボルに保存されます.
クラウドベースの計算を使う
WolframScriptはWolfram Cloudを使ってコードを実行することができるようになりました.パブリックのWolfram CloudまたはPrivate Cloudを使うように設定することができます.
クラウドAPIに直接アクセス
APIFunctionを使うと,WolframScriptは引数入力を解析し,データをWolfram CloudあるいはPrivate CloudのいずれかでホストされるAPIに直接送ることができます.
多数のエキスポート形式
-export引数を使うと,WolframScriptは,データをWolfram言語でサポートされる任意のエキスポート形式に変換してエキスポートすることができます.
Windowsでも使用可能に
WolframScriptはWindowsの基本的なコマンドシェル,MSYS,CygwinをサポートしてWindowsでも完全に利用可能になりました.
カーネルの自動検出
WolframScriptはユーザのシステム(Windows, Mac)上にインストールされたWolframカーネルのうち,最新のものを自動的に選びます.
仕様
- WolframScriptはWindows,Mac,Linuxを実行するx86およびx64のシステムをサポートします.LinuxではARMサポートが利用できます.
- WolframScriptのクラウドベースの機能を利用するためには,Wolfram Cloudのアカウントが必要です.
- 異なるプラットフォームでWolframScriptを利用するためには,異なるエスケープセマンティクスが必要です.
- WolframScriptはバージョン11以降のWolfram言語で配布されています.