ボーイング社のエンジニア,Mathematica を使って新しく精密な表面塗装技術を開発
バイクの側面に赤と黄色の炎を描こうと決めたとします.あなたは双曲三角関数を含む数式に従ってそれぞれの炎の色を混ぜていきたいと思っています.完璧にしなければすべての塗装作業が無駄骨に終わってしまいます.さて,どのようなアプローチが一番よいでしょうか.
戦闘機の表面塗装
最前線の航空宇宙エンジニアが,戦闘機に表面塗装を施す際に同様な問題に直面しました.この場合に重要なのは,色ではなく表面の電気伝導率です.この物理特性は,電磁波が航空機に当たったときにどのように分散するかを決定します.しかし,航空機は部分により異なるレベルの表面伝導率を持ちます.しかも,ある部分とそれに隣接する部分との伝導率が大きく異なる場合,敵のレーダーで探知されるような方法で入力波が広がるため,位置がすぐに分かってしまうという落とし穴があるのです.
この問題を避けるために,機体担当者は機体表面にさまざまな厚さの誘電性のある表面塗装をスプレーし,表面抵抗に急激な変化が起らないように境目の部分の塗装を混ぜ合せるのです.理想的な混ぜ合せ方の数学的特性は電気力学の法則の直接的な結果であることはすでに知られていますが,適切に導電塗装を施すには,エアブラシでバイクに炎を描くのと同じように,スプレーガンで徐々に領域の塗装を混ぜ合せていかなければなりません.
少なくともその工程に Mathematica が導入されるまでは,この方法が使われていました.Mathematica は高度な数学にも高度なグラフィックスの作成にも使えます.
Mathematica:塗装を施すより正確な方法
塗装工程は次のように変わりました.まず,エンジニアは Mathematica の数値計算パワーを使って,指定された表面に対する理想的な塗装パターンを正確に定義します.次に非常に解像度の高いPostScriptプリンタを使い Mathematica から光マスクである「フォトツール」を印刷します.フォトツールは光化学エッチングで使用され,必要とされる場所に正確な厚さで導電塗装を施します.
戦闘機の部分によっては,理想的な塗装は双曲余弦関数に従った曲線に沿って変化します.Mathematica は文字通り何百もの特殊な数学関数と同様,双曲三角関数も扱えるので,このタスクを簡単にこなすことができたのです.Mathematica の代数,数値,グラフィックスの各機能が緊密に統合しているため,最初の数学的モデルから最終的なフォトツールまでの工程が1つの滑らかな開発プロセスになるのです.
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